抗がん剤中の運動に関するインタビュー
はるはなさんの場合
インタビュー日： 2020年5月16日
抗がん剤（ケモ）による副作用が運動で軽減したとSNSで発信されていた、はるはなさんに、まめっつがインタビューをしました。はるはなさんは27歳で乳がんとわかり、現在も抗がん剤による治療中です。
質問に対し、とても丁寧に答えてくださり、たいへん参考になる内容です。どうぞ最後までお読みください。
ーーー 普段の生活習慣（運動も含めて）や治療歴を教えてくださいますか？（差し支えなければ）
生活習慣について
最近は
7時起床→仕事
18時～20時帰宅→家事夕飯
20時～23時 運動やゲームや家事
24時～25時 就寝
休みが少ないので基本的に休日＝通院か副作用でダウン
治療歴＆運動歴
社会人（22歳）まで運動大嫌いで体育は万年3。
配膳の仕事でヒールで1日20000歩歩く日々で体力がつく。
25歳から告知直前まで暗闇バイクのジムにはまり週3～5通う。
| 2017年 | |
| 7.15 |
告知（27歳） 告知と同時にジム休会。運動は全くしていませんでした。 |
| 8.7 | 抗がん剤（FEC）4クール |
| 11.7 | 抗がん剤（ドセタキセル）4クール |
| 2018年 | |
| 2.15 | 全摘再建なし |
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2018.3～ 2019.3 |
ホルモン治療（ノルバデックス、リュープリン） |
| 3.26～5.15 | 放射線35回 |
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4月からジムに復会。仕事早退→放射線→ジムに行く日も度々。 5月は放射線で皮膚がベロベロになりながらも28回ジムに行きました笑 |
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| 6.18～12.3 |
経口抗がん剤（ゼローダ）8クール 経口抗がん剤中も週3～4程度ジムへ通っていました。元々副作用が点滴の抗がん剤よりは少ないとは思いますが、今までの抗がん剤の中でも1番体調がよかったです。 |
| 2019年 | |
| 3.19 |
多発肝転移 |
| 3.27～12.15 |
抗がん剤（ハラヴェン）13クール |
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貧血の症状＆白血球好中球減少によりジム休会へ。 |
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2020年 |
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1.8～4.8 |
抗がん剤（パクリタキセル＋アバスチン）4クール たまにスピンバイクを漕ぐも、あまり運動せず |
| 4.15～ | 抗がん剤（ナベルビン） |
| 5月入ってから家トレ開始 | |
ーーー 「鞭打って運動」とツイートされてましたが、運動したくない状態だったのでしょうか？
自粛前はびっしり予定が入っていて、たくさん歩くことが運動となっていたのですが、2月から自粛をはじめて仕事（デスクワーク）と家事以外はほとんど動かない生活を3ヶ月近くしていました。
それに加えてケモ（パクリタキセル＋アバスチン）のステロイドによる副作用で食欲が増して体重増加。
筋肉が減り脂肪が増えた身体、切り替わったケモの副作用による倦怠感など、全てが合わさって運動をする気が中々起きませんでした。
今までの治療中もそうでしたが、やはり運動は習慣的にやっていればハードルは低くなりますが、しばらく運動をしていない状態になるとどうしても身体が拒否反応を示すような気がしています。
ーーー 抗がん剤の副作用が軽減されたそうですが、家トレではどんな運動をしてますか？
今は白血球並びに好中球が下がるケモをしているため、致し方ない仕事と通院以外は、ウォーキング含め完全に人と接しないよう心がけています。
なので家にあるスピンバイクを漕ぐ、Youtubeを見ながら筋トレやヨガやストレッチ、あとはゲームになりますがSwitchのFit Boxingというボクササイズのゲームをしています。
ーーー 副作用がひどい時など、運動を敬遠する時はありますか？
今まで度々ありました。発熱した日はもちろん論外ですが、熱がなくとも強い倦怠感などがあったりすると、相当な強い意志がない限り敬遠してしまいます。
ーーー どの程度の頻度で（週何回など）運動されているのでしょうか？
ここ2週間程に関しては（運動再開してからは）、毎日かかさず運動しています。
GWのお休み等もなくフルタイムで仕事をしていますが、どんなに時間がなくても、最低ボクササイズゲーム20分ストレッチ5分はかかさず行い、時間がとれる日は2時間程度を目安に運動しています。
直前のケモ当日は通院前に、副作用ピーク日の日も軽いメニューとストレッチをこなしましたが、運動をしていなかった前クールより調子がよい気がしています。
以前治療中に運動していた時は週3～5程度で45分のジムに通っていました。
ーーー 病院では運動を推奨されましたか？ また、どのような運動という話はありましたか？
特に病院から運動してください、運動した方がいいと言われたことはありません。
この病気になる前運動していて、運動がある程度好きだったこと、
ダイエットしたかったこと、
運動が再発リスクを下げることや副作用を軽減すること、
などから運動をしようと思って自主的にしています。
主治医にはこんな運動をしてもよいかという問いかけをしたり、手術後は理学療法士さんにリンパ郭靖後の負荷について聞いたり、CVポートをいれる際は外科の先生にどんな動きがダメかを聞いたり、こちらから投げかけはその都度するようにしています。
ーーー 運動することで気持ちに変化はありましたか？（メンタル面の効果など）
正直に言うと、今まで基本的に運動をしていた時は気持ち的に余裕がある時です。
本当にメンタルが荒れている時、
例えば告知直後や抗がん剤の副作用が死にたいくらいに辛い時、再発転移がわかった時、検査結果が悪かった時は運動する心のゆとりがありませんでした。
ただ、運動習慣がある際に気持ちの上がり下がりが少ないのは事実です。
ステージⅣになってからは特に、治療についての悲しみや不安やストレスは運動ではどうにもなりません。
ただ、少なくとも怒りや生活面、人間関係のストレスという点ではストレス発散に繋がり、精神的に安定させる効果は出ているかと思います。
また、身体を疲れさせることでよく眠れるようになり、睡眠状況の改善で気持ち的に余裕がうまれるということもあるかと思います。
夜眠れないとどうしてもネガティブな考えが出てきますので、スっと眠れることは精神的にもよい変化かと思います。
実は昔は運動が楽しいという人が信じられない、と言っていました 笑
ーーー ほかにお話したいことはありますか？
元々運動が大嫌いだったので運動嫌いの人の気持ち、よくわかります。
副作用で運動したくない人の気持ち、よくわかります。
私は病気になる前に大好きな運動と出会っていたこと、運動の楽しさを知っていたこと、これがあるから今運動を出来ていると思います。
実は昔は運動が楽しいという人が信じられない、と言っていました。笑
運動した後の爽快さ、気持ちよさ、これを知らない状態で運動を自らするのは本当に大変かと思います。
だから、いかに楽しくできるのかそれが本当に大切だと思います。
私は暗闇でガンガン洋楽をかけて、バイクを漕ぐというジムで運動の楽しさを知りました。
今は自粛や治療状況によりジムに通えないですが、イヤホンで洋楽を聴きながらノリノリでバイクを漕いだり、ゲームで運動したり、楽しく運動をしています。
正直、楽しくない運動を続けるのは相当なストイックさがないと辛いと思います。
ウォーキングでもランニングでも筋トレでもゲームでも、いかに楽しくできるか。
自分が楽しくやれる運動を見つけること、それが運動を持続する秘訣だと思います。
そして副作用。
私は1番辛い時は1週間、ほとんど絶食状態でトイレにすら立てない程抗がん剤の副作用が強くでました。
音、光、全てが吐き気とめまいに直結し、とても運動どころでなく、美容体重程の体重が1週間で6kgも落ちました。
だから、一概に副作用があっても運動しましょうなんて言えません。
副作用で40度の熱が出たことも1度や2度じゃありません。
ただ、ある程度食事を食べれるなら、軽い運動が倦怠感などの副作用を軽減するのは事実です。
是非試してみてほしいなと思います。
私は今、心臓の調子がよくありません。
度重なる抗がん剤のダメージで、過度な運動をすると不整脈や胸部痛などが起こります。
なので運動時は必ずパルスオキシメーターでこまめに心拍数をはかり、一定以上になったら3分休憩などマイルールを決めています。
主治医や看護師さんへ話を聞く、知識を集める、自分の身体と相談する。
特に抗がん剤治療中の方はそういったことを忘れずに自分のペースで運動することが、QOLをあげることに繋がるかと思います。
私はエンドレスケモがこれからずっと続きますが、できる限り運動で体力を維持して、まだまだ治療を頑張って、アクティブに生活していきたいと思っています。
