歩数と有病率の関係

2021年10月16日

 

歩数と有病率の関係についてお話ししたいと思います。
(オンラインエクササイズでお話した内容と同じです)

1週間に150分以上の運動を目指して、有酸素運動と筋トレを組み合わせるとよいとお話しています。
有酸素運動としては手軽に行いやすいものとしてウォーキングがあります。
そのウォーキングで一日にどのくらい歩いたかというのと病気になる率の関係が、大きな調査により明らかになっています。

この調査が中之条研究いい、群馬県の中之条町の65歳以上の全住民である5000人を対象に、身体活動と病気の関係を10数年間追いかけた大きな調査です。このほかに高血圧や糖尿病なども調査されていますが、65歳以上の高齢者なので、高血圧などはぐっと数が多くなっています。この表にある病気も、40代、50代の人に比べれば有病率は高いかと思いますので、そこはご注意ください。

 

表をご覧ください。
1番左には2000歩未満から9000歩以上まで1日の歩数が書かれています。
表の上には、うつ病や認知症などの病気が並んでいます。
一目瞭然で、歩数が増える方が病気になる人が減っています。
また、がんと運動のエビデンスでも同様のことになっているのですが、気持ちの落ち込みや不安感は、比較的少ない運動でも改善が見られます。そして、うつ病もそれほど多くないウォーキングで改善が見られます。中之条研究でも同様の結果が出ています。

特に注目していただきたいのが、左から2列目にある中強度の活動時間のところです。
中強度の活動時間というのは、ウォーキングでいえば早歩きをした時間と思ってください。
または、オンラインエクササイズでしている筋トレでもよいです。

🍀ここでクイズです!
旅館で働くみなさんの有病率はどうだったでしょうか?
ヒント: 食事を運んだりして1日の歩数は1万歩超え

中之条研究では、全住民を対象に調査したので、65歳以上とはいえ様々な職業の方たちがいました。
農業の方や、もう定年を過ぎた方や、主婦の方などいろいろです。
その中で観光業の方がたちがいます。旅館で働く中居さんや女将は、いわば肉体労働者とまではいかなくても1日中忙しく立ち働くみなさんです。そのため一日の歩数が1万歩を超えるのが常だったようです。

ところが、骨粗しょう症になってしまった方がいるそうです。そんなにたくさんの運動量でなぜと詳しく見たら、歩数はかなり多いのですが、着物を着て動いているので、大股では歩かないのだそうです。
表の左から2列目の中強度の活動時間は「なし」に等しい動きになっていました。

 

今では「1日8000歩」を目標に歩くと健康によいと一般的に言われるようになりましたが、その根拠となるのが、この研究です。

歩数だけが目立つこととなってますが、どうせ歩くなら、大股で元気よく歩きましょう!
できれば、歩いている全部の時間のうち、1日20分程度は早めに歩くよう心がけましょう。